時空警察捜査一課

実録！歴史推理ドラマ

時空警察捜査一課

2001年12月30日日本テレビ系放映
　

　　　　（↑時空警察のノベライズ版が出た！ＰＡＲＴ３のノベライズ化です。）

　2001年の年末特別ドラマ。
　何とも面白い試みのドラマが放映されたものです。
　歴史の謎に挑む教養番組に、ＳＦドラマ的要素を加味して演出されたものです。

　取り上げられた事件は、ケネディ暗殺、タイタニック号沈没、本能寺の変、ヒトラー生存説、義経ジンギスカン伝説。

　これらの事件について、定説・公式発表と違う見方を提案しています。
　それだけでも面白い内容で、純粋に歴史教養番組として放映できる内容なのですが、そこは民放21時台の性か。
　ＳＦドラマの要素を加味して娯楽ドラマの演出を加えました。

　ＳＦ、とはいっても、ＳＦ的要素は、単にタイムスリップするだけだから、本格ＳＦというにはほど遠い。
　また、純粋に歴史教養番組を楽しみたい方には、ＳＦ的演出が邪魔に感じたのでは？
　歴史教養番組とＳＦドラマの合体、と言っては聞こえがいいが、結局どちらにしても中途半端になったのでは？

　とまず、あえて問題点を指摘した上で、でもやっぱりこのドラマはすばらしかった、ぜひシリーズ化を望みたい、とよいしょしておきます。

　私がこのドラマを知った時、何より、ＳＦドラマを放映する、という蛮勇を嬉しく思ったものです。

　現在、21時台のドラマといえば、「～殺人事件」とタイトルがつくミステリーがほとんど。

　朝日新聞2002年1月1日付に、「必殺“２サス”の甘いワナ　２時間サスペンスの法則」という面白い記事が載っていました。
　この類のドラマでは、視聴率を取れる法則があるようです。
　まあ、こういった法則で作られた安直でマンネリの２時間サスペンスが全盛の中で、あえてＳＦドラマを放映する意気を買ったものです。

　ということで、ドラマについて。
　警視庁刑事局捜査一課時空班の刑事達がタイムスリップし、歴史の真相を探る、というもの。
　時空警察はあらゆる時代に知られているらしく、その時代の人に手帳を見せて「時空警察の者だ」と名乗れば、協力してくれるのがおかしかった。もちろん、非協力的な人もいましたが……。
　タイムマシーンが、クラシカルなタイプのエレベーターというのも面白い。

　

ケネディ暗殺の真犯人は誰だ

　伊能恭介係長（陣内孝則）が1964年のダラスにタイムスリップ。
　ピンカートン探偵社と協力してケネディ暗殺事件を追う。

　確かに、政府公式発表はとても信じられないものだ。
　だからこそ色々な説が唱えられているのでしょう。
　オカルト方面では、ケネディがＵＦＯ情報を公開しようとしたために暗殺された、という説まで出ていました。
　日本の「ルパンⅢ世」も、ケネディ暗殺事件に挑みました。
　そして伊能警部が到達した結論とは……。
　一応、一番広く知られて有力だと思われている説でした。
　最後には伊能警部が暗殺団に襲われる、と見せ場があります。

　そして法律に逆らって、ケネディ暗殺事件の公文書が公開される2039年という未来にタイムスリップした伊能警部の発言

「えーっ、こいつが犯人！？」

　そこで終わっていて、結局推理は正しかったのかどうか分からずじまい。
　これは2039年まで待たねば。

　それにしても、どうせなら、ケネディ暗殺前の、黒幕が相談している所にタイムトラベルすればよかったのに……と突っこんでおきます。
　

タイタニック号は計画的に沈められた？

　霧山マキエ巡査部長（篠原涼子）が1912年イギリスにタイムスリップ。

　タイタニック沈没にこんな説があったとは知りませんでした。
　タイタニック号と全く同じ双子の豪華客船オリンピック号があったそうです。　

　私は小学生の時、学校の図書の本でタイタニック号沈没の本を借りた覚えがあります。
　その時、タイタニック号と全く同じ船が遭難した乗客の救出に向かい、乗客は気味悪がったとか、乗客の心情をおもんぱかって救出活動に携わらなかったとかいうエピソードがあったように思います。

　ドラマでは、この、事故ばかり起こして修理代がかさむオリンピック号を沈めて保険金を騙し取るために、オリンピック号とタイタニック号をすりかえてオリンピック号を沈めた、と推理されていました。

　確かに、この説は、事件直後からささやかれていたそうです。
　この説を主張するジャーナリストもいるそうです。
　しかし、ドラマでも発言が紹介されていましたが、そんなことをすれば会社の評判がガタ落ちになって考えられない、と反対する人もいます。
　乗客に対する補償金を支払うのも大変でしょう。
　ちょっと賛成できない推理だな。

　しかし、沈没直前に寄稿した港で、郵便袋に隠れて下船した機関士がいたり、見張り台の双眼鏡がなくなっていた、という謎は残る。

　乗船直前に乗船キャンセルをする有力者が続出した、というのも、何か裏があるのだろうか。
　この事実は、今まで、個人の予知能力が危機を救った、という観点から語られることが多かったのですが……。

　ともあれ、船をすりかえる、という奇想天外なトリックが楽しめたエピソードでした。
　（また突っこみますけど、タイタニック沈没の陰謀を話し合っている現場にタイムスリップしてほしかった）

　

信長暗殺黒幕を追え

　時澤爽太巡査（石井正則）が本能寺の変直後の京都にタイムスリップ。

　ここで語られる天海僧正＝明智光秀説は、よく言われて広まっている説です。
　ここではさらに、明智光秀=天海僧正、徳川家康の密約に、豊臣秀吉までが加わっていた、と推理されました。
　顔が分からなくなった首を見て光秀だ、と判断した秀吉が怪しい、グルに違いない、クーデターのために三人は手を結んでいたはずだ、というわけです。

　ただ、私としては、光秀―家康ラインまでは納得できますが、ここに秀吉まで加えるのはとても納得できません。
　光秀は逆賊、と末代まで汚名を着せられるわけですから。
　一族郎党も皆殺し。
　お家が大事の時代なのに、あまりにも失うものが多すぎます。
　しかも名門の家柄出身で足利将軍にも仕えていたプライドの高い光秀が、たたき上げの秀吉の引き立て役を引き受けるとは、ちょっと考えにくい。

　天海僧正の正体も、光秀本人というより、光秀にゆかりのある人物、と考えた方がすっきりするのでは？
　

ヒトラーは生きている

　広瀬忠雄巡査部長（恵俊彰）が第二次世界大戦後のドイツにタイムスリップ。

　ストーリー、推理ともに見事だった。これは納得できる推理だ。

　ちなみに、オカルト方面では、ヒトラーはシャンバラ（アガルタ）を探して南極に行った、という説があります。

義経はジンギスカンになったのか

　山神善一郎主任（竜雷太）がタイムスリップ。

　義経の後を追って北海道まで行きますが、そこで見失います。

　結局、結論は出ませんでした。この説も魅力ある説です。

　

……と五つの謎を推理したわけです。

　しかし、なぜ警視庁にこんな時空班があるのだろう。
　警察が歴史の謎を暴いて意味があるのだろうか。
　どちらかというと、研究者や学者の仕事だと思うのですが。

　しかし、それはそれ。２時間ドラマには警察や刑事がつきものだから……。

　ともかく、面白かった。これはぜひ、シリーズ化してほしいドラマです。

2002.１.６（日）
　

時空警察捜査一課
　　　　　　捜査終了

この番組はすべて事実に基づいた
歴史推理ドラマである　　　　