■少年少女に未来への夢と希望をおくるSF文学の決定版――
少年少女世界SF文学全集(あかね書房)
責任編集=白木茂・福島正実(全20巻)小学上級~中学生向
ロボット・スパイ戦争 Nur Zwei Roboter?
★(あらすじ)★
(追記できたら)
★(あらすじ:ネタバレ注意!)★
(この記事は、2001年9月11日のニューヨーク多発テロの直後に書いたものです)
時代はソビエト連邦存在時の冷戦時代である(1963年の作品)。
ドイツで行われる万国博覧会を前にして、アメリカとソ連の政府が、ロボット制作を急いでいた。
どちらがより人間に近いロボットを製作し、人気を集めるか。
国の威信をかけた熾烈な競争であった。
スパイが暗躍し、設計図の奪い合いや買収も行われ、ロボット制作にかかわる科学者たちも方針の違いや疑心暗鬼から論争を繰り返す。
波乱の末、ついにロボットは完成し、万国博覧会に出展される。
アメリカ製の男性型ロボット・ウィリアムとソ連製の女性型ロボット・ナターシャである。
人間に近い電子頭脳をもち、言葉を理解でき、会話し、自由に動き回れるロボット。
アメリカ館もロシア館もどちらも連日満員の人だかりだった。
二体のロボットは、マスコミとのインタビューに応じているうち、やがて自分と同じロボットの存在を知る。
ナターシャはおめかしして写真を撮り、ウィリアムにことづける。
ウィリアムはナターシャに会いたい一心で管理人に対してストライキを起こす。
それを知ったナターシャもストライキを起こす。
そしてついに、両国政府の思惑で、両国のパビリオンの中間点で二体のロボットの会談は実現する。
世界の人々が祝福する中で、会談は友好的に終了する。
次の日、ナターシャはウィリアムの本心について、監督者であるシャチェイエフ技術庁長官と激しく言い争う。
「わたしたちのあいだには、もう国境はありませんし、東と西のみにくいあらそいやにくしみもありません。わたしたちのからだに、わたしたちの血液である電流が流れているかぎり、わたしたちは、いまあなたたち人間が失いつつある友情で、しっかりとむすばれているのです」
その言葉に衝撃を受けたシャチェイエフは、ナターシャを鉄格子から出す。
このことは、恒久的世界平和への第一歩と、全世界から好意的に受け止められる。
シャチェイエフが独断で行ったこの行為を、ソビエト大使館の上司たちは裏切り行為と叱責するが、書記長はじめソビエト政府は、国際世論の主導権を握るのに利用できる、と歓迎する。
一方、後手に回ったアメリカ政府は、ソビエト政府の真の狙いをいぶかり、ウィリアムにナターシャ以上の人気や話題を集めるにはどうしたらいいか検討。
結局、ウィリアムを月の探検・開発に送り込むことを決定する。
ナターシャに会いに行くことを禁じられているウィリアムの下へ、ナターシャが行列を引き連れて会いに来る。
ウィリアムはナターシャと二人で月に行くことを提案、このことは世界中から歓迎される。
これはアメリカとソ連の共同宇宙開発・みにくい対立の終結・友好的な協力の始まりとなった。
世界の各都市では平和行進が行われ、国際友好をたたえる歌が広がる。
みんなで手をつなごう
友情の手で世界をつなごう
われらはみんな兄弟だ
「平和!」みんなでさけぼう
国連では、この歌を国際歌として認める法案が成立した。
ホワイト・ハウスやクレムリンは、まだお互いに、事態を自分たちに有利に導こうとして相手の腹を探り合っていた。 しかし、ロボット達の提案によって、月ロケットを共同開発することに同意したのである。
月ロケット「パックス」はバルト海に面したドイツの海岸で制作が開始され、数か月後に完成する。
ウィリアムとナターシャは、全世界の人々が見守る中、手を携えて、新婚旅行に行く新郎新婦のようにロケットの中に入っていく。
そしてロケットは目に見えない手で持ち上げられるように、ゆっくりと上昇していく……。
2001.09.24(月)
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